でるふぃすぶるー!

ダイビングとオーガニックで美しい人生を送るブログ

『世界一貧しい大統領の言葉』ムヒカ前大統領の感動のスピーチで考えさせられたこと

皆さんは「世界一貧しい大統領」と呼ばれる方を知っていますか?

ホセ・ムヒカ(Jose Mujica)氏です。

 

2012年、国際連合主催の環境会議(ブラジル、リオデジャネイロ)での

ムヒカ氏のスピーチが

心にぐっと刺さる内容なので、紹介したいと思います。

 

上手く言葉にできないのですが、なにか感じるものがあるのです。

自分にとっての本当の幸せとは何なのでしょう。

 

このスピーチを聞いて、「世界一貧しい」とは第三者が勝手につけたもので

本当は「世界一幸せで、世界一かっこいい」人だと感じました。

 

世界一貧しい大統領 スピーチ 全文


世界一貧しい大統領の言葉 2016 APR

※こちらのYoutube動画の音声字幕を起こしました。

 

それは2012年、ブラジルで行われた国連主催の環境会議での一コマだった。

議題は

「人間はどうしたら、これからも発展しながら地球環境を守っていけるのか」

というもの。


各国の代表がスピーチを行う中、小国ウルグアイ代表の演説など注目するものはほとんどいなかった。

そんななか静かに壇上に上がったのがホセ・ムヒカ。
スピーチはごく当たり前の各国代表への感謝から始まった。


『この場に出席されている世界各国の代表の皆さん、ありがとうございます。
お招きいただいたブラジル国民 そして大統領閣下に感謝します。

これまでに発言されたすべての方々が表明された誠意にも、

大いに感謝致します。

 

いち国家指導者として 貧しい人々のための取り決めづくりに
仲間として共に参加することを表明致します。

 

しかしわたしたちにもいくつか
声高らかに質問をすることをお許し願いたい。

 

今日の午後ずっと
わたしたちは「持続可能な発展」と「膨大な数の貧困者対策」を話し合ってきました。
けれどわたしたちの本音は何でしょう?

 

今の発展を続けることが 本当に豊かなのでしょうか?

 

質問させてください。
もしドイツ人が1家族ごとに持っているほどの車を
インド人もまた持つとしたら、
この地球はどうなってしまうのでしょう?
わたしたちが呼吸できる酸素は残されるのでしょうか?

 

もっとはっきりいいましょう。
例えば 最も裕福な西側諸国と同じようなレベルで
70億 80億の人々に消費と浪費が許されるとしたら
それを支えるだけの資源が今の世界にあるのでしょうか?

それは可能なのでしょうか?


それとも別の議論が必要ですか?

 

今のこの文明を作ったのはわたしたちです。
わたしたちは市場と競争社会から文明という落とし子を生み出し
物質面での驚異的な進歩をもたらしました。

 

そして市場経済は市場社会を作り出し
それを世界規模に拡大してしまいました。
いわゆるグローバリズムです。

 

そのグローバリズムをわたしたちはコントロールできていますか?
逆にコントロールされてはいないでしょうか?

 

こんな残酷な競争で成り立つ社会で
「みんなで世界を良くしていこう」なんて議論が本当にできるのでしょうか?

 

わたしたちは本当に仲間なのですか?

 

わたしは今回の会議を否定するために言っているのではありません。
ちがいます、逆です。

 

我々が今挑戦しようとする目の前の巨大な困難は、
決して環境問題ではなく 明らかに政治の問題なのです。

 

人類は今消費社会をコントロールできていない。
逆に人類のほうがその強力な力に支配されているのです。
我々は発展するためにこの地球上にやってきたのではありません。

 

幸せになるためにやってきたのです。

 

人生は短く あっという間です。
しかしその人生こそが何より価値あるものなのです。

 

余計なものを買うためにもっともっとと働いて、人生をすり減らしているのは
「消費」が社会のモーターとなっているからです。

 

なぜなら 消費が止まれば経済がマヒしてしまい、
経済がマヒすれば不況というおばけが我々の目の前に姿を現します。

 

しかし今この行き過ぎた消費主義こそが地球を傷つけ、さらなる消費を促しています。

 

商品の寿命を縮め できるだけ多く売ろうとする。
今の社会は1000時間持つような電球はつくってはいけないのです。
本当は10万時間 20万時間ももつ電球はあるのに そんなものはつくらない。

 

なぜなら我々は
もっと働き もっと売るために
使い捨て文明」を支える悪循環の中にいるからです。

 

これは政治問題です。
我々は今までと違う文化のために闘い始めなければならない。

石器時代に戻ろうとは言っていません。

 

このままズルズルと消費主義に支配されるわけにはいけない。
わたしたちが消費主義をコントロールしなければならないと言っているのです。

 

ですからわたしはこれが政治問題だといました。
とても謙虚な思いからです。

 

かつての先人たち
エピクロスやセネカ そして アイマラ人たちは次のように言っています。

 

貧しい人とは少ししかものを持っていない人ではなく、
もっともっとと いくらあっても満足しないひとのことだ

 

大切なのは考え方です。
だからこそ
皆さんとともにこの会議に参加し、
国家指導者として皆さんと共に努力したいのです。

 

わたしの発言は皆さんを怒らせるかもしれない。


しかし気づかなくてはいけません。

”水問題”や”環境の危機”が ことの本質ではないということです。

 

見直すべきは 我々が気づいてきた文明の在り方であり
我々の生き方です。

 

なぜそう思うのか?
わたしは環境に恵まれた小さな国の代表です。
人口は300万人ほど、いやもうちょっと320万人ほどしかいません。

 

けれど世界で最も美味しい牛が1300万頭
また素晴らしい羊が800万から1000万頭
食べ物 乳製品 そして肉の輸出国です。
国土の90%が有効に使えるほど豊かな国なのです。

 

だからかつて私の仲間たちは8時間労働のために闘い
ついには6時間労働を勝ち取った人もいます。

しかしそうなったら今度は仕事を2つ持つようになりました。

 

なぜか?

たくさんの支払いがあるからです。
バイクやマイカーのローンを次から次へと支払っているうちに
私のようなリウマチ持ちの老人になって人生が終わってしまう。

 

そして自分に問いかけるのです。
これがわたしの一生だったのか…」と。

 

私が言っているのは基本的なことです。

発展は幸せの邪魔をしてはならない。


発展は「人類の幸せ」「」「子育て」「友達を持つこと
そして「必要最低限のもので満足する」ために
あるべきものなのです。

 

なぜならそれらこそがいちばん大切な宝物なのだから。

 

環境のために闘うのなら

いちばん大切なのは
人類の幸せであることを忘れてはなりません。

ありがとう 』

 

 

消費主義に人間がコントロールされている

買い物したいモノがほしい

一歩家の外に出れば、モノを買わせようとする仕掛けが溢れています。

 

洋服屋さんは素敵なコーディネートを見せてオシャレを楽しませてくれて、

レストランは味や見た目・お店の雰囲気でお客さんを誘い、

電車に乗れば魅力的な広告がたくさん吊り下げられています。

 

すべてわたしたちが作り出した世界なのに、わたしたちはそれに踊らされている。

浪費したくなるように仕向けられている。

 

確かに。その通りです。

広告につられて脱毛サロンに申し込んでみたり、

見た目がキレイだからと立派な(そして高価な)野菜を買います。

 

でも本当は、ムダ毛があるからといって美しくないわけではない

不揃いの野菜だって農家さんが心をこめて作ってくれた野菜です。

 

物事の本質、本当に大切なことをわたしは見失っていたと気付かされました。

 

本当の幸せは浪費では得ることはできない

浪費しても幸せにはなれない

スピーチを聞いて、ムヒカ前大統領は本当の幸せが何かを知っているような気がしました。

 

「お金を遣ってモノを手に入れること」でわたしたちは「安心」することができますね。

 しかしそれは ”まやかし” で、モノを手に入れただけでは幸せにはなれません。

 

モノを買うためにはお金が必要。

だからたくさん働かなければいけない。

朝起きて、会社に向かい、決まった仕事をこなし、帰って寝る。

 

テンプレートのような毎日を送って、果たしてそれで幸せなのでしょうか?

 

ムヒカ前大統領は、そう問いたいのではないかと感じました。